いい人間、いい社会とはなにか。
働く人々が精神的に健康でありえるためのマネジメントとは?
本当の「自己実現」を生む人間主義経営とはなにかを問う。
ドラッカーも絶賛した最も重要な不滅の作品だと絶賛したのもうなずける。
第一級の心理学者が実際に企業をくまなく観察し、気になったことをエッセイとして書き下ろした本。
人的資源論を本気で実務に活かしたいと考える方には、巷に出回る粗悪な模造品ではなく、ぜひ本書に触れる事をお勧めする。
本書は、人のパーソナリティは多様であり、変化するがゆえに画一的なマネジメントが存在しないことを示唆している。
しかし、それゆえに優れたマネジメントは的確な状況判断と柔軟性を要求し、高度であり、経済的に大きな可能性を秘めていることも示している。
また、日本が物質的に豊かで、かつ低成長時代である今日、高度成長時代と同じマネジメントでは機能しないことが、心理学を基礎としたマネジメント論からよく分かりる。
本書『完全なる経営』単なる経営書ではなく、人間のあり方を説き、よき人間が作る組織・社会がよき経営のあり方につながる事を人間性心理学の観点から、非常に重みを持って伝えてくれる良書だ。
この本を単なる理想論と片付けるのは簡単であるが、自分自身及び自分が所属する組織(会社・地域社会など)が「健康な人」からいかにかけ離れているかを認識し、何故その様になってしまっているかを考えることが非常に重要であることが本書のポイントでもある。
本書では、ウォレン・ベニスの冒頭や金井泰宏氏の解説、現代経営人による解釈コラムによって、その意味付けや現代的・実践的解釈が理解し易いように構成されている。
また、マグレガーやドラッカーに対する批評の部分など、興味深い点は尽きない。
きわめつけのセンテンスはこれだ。
「仕事を通じての自己実現は、自己を追求しその充足を果たすことであると同時に、真の自我とも言うべき無我に達することでもある。自己実現は、利己-利他の二項対立を解消するとともに、内的-外的という対立をも解消する」。
秋の夜長にふさわしい大著となっている。秋におすすめの本だ。
30代以上の方に、特におすすめします。
●完全なる経営
●完全なる経営
■より良く、より楽しく生きるためのお薦め本、人生を豊かにする本
■お勧めビジネス本。仕事に役立つ本