本書はビジネスマンの必須スキルとなったファシリテーションの基礎を、「推察」と「介入」に分類し、それらを効果的に運用するための「9つのルール」を徹底的に解説している。
著者の豊富なコンサルティング経験から得られた実例を用いて、グループ・メンバーの心理や感情と、それらに起因するミスを防ぐ方法が詳細に記載されている。
ファシリテーションの説明から始まり、具体例を盛り込んだ、読み応えのある内容だ。
おおまかな項目は以下の通り。
・ファシリテーションを行う上での基本価値
・基本価値から導かれた基本原則
・実行理論(相互学習モデル)
・ステップ1:(対象とするグループの)現状分析
・ステップ2:(対象とするグループへの)介入
日本で出版されているファシリテーション関連の本とは一風書いている内容が異なる。
違ったことを言っているわけではないのだが、対象としている領域が違うのだ。
他書はファシリテーションを行うのに必要な要素を、特に手続き的な部分を中心に網羅的に押さえている一方、本書はファシリテーションにおける「対話」に焦点をあて、どのように対話を効果的なものにしていくかについて書かれている。
その点からすると、「アジェンダは?」「誰を参加させる?」「どんなツールを使う?」などには目もくれられていない。
ただ、対話という要素はファシリテーションにおいてもっとも重要なものなので、得られる価値は非常に大きいと考える。
対話といっても、推論の仕方からはじまって、発言や態度にどのような感情が隠されているか、という幅広い点について触れられているので、個々の要素だけ見ても参考になる点が多い。
対話への介入の仕方として6ステップある、と紹介されているのはよいのだが、どのような状況の介入の仕方馬鹿丁寧にすべてのステップを踏んでいるので、くどいと感じる部分もある(ステップ自体もかなりくどいが)。
ただ、そうした点を差し引いてもファシリテーターを目指す人にとっては参考になることが多い一冊だと思います。
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